イーロン・マスク氏、X(旧ツイッター)で大統領選に影響? 虚偽情報の拡散が問題視される
電気自動車メーカー・テスラのCEOであり、X(旧ツイッター)のオーナーでもあるイーロン・マスク氏が、2024年の米大統領選において大きな注目を集めています。2023年7月にトランプ前大統領への支持を表明して以来、マスク氏は自身のSNSプラットフォームを通じて選挙戦に積極的に関与し、虚実入り混じった情報を発信することで物議を醸しています。
マスク氏の政治的スタンスの変化
かつて「穏健派の民主党支持者」として知られていたマスク氏は、オバマ元大統領と握手するために長時間並ぶほどの熱心な支持者でした。しかし、近年ではそのスタンスが変わり、2022年の中間選挙では共和党支持を打ち出しました。特に、バイデン大統領の高齢や移民政策への批判を繰り返す一方で、民主党が重視する「多様性、公平性、包摂性」(DEI)を攻撃し、トランプ氏への支持を強めています。
Xでの虚偽情報と混乱の拡散
マスク氏が買収したX(旧ツイッター)では、広告収益を目的とするユーザーが増え、虚偽情報が飛び交う「カオス化」が進んでいるとの批判があります。マスク氏のアカウントは2億人以上のフォロワーを持ち、その発信力が選挙に大きな影響を及ぼしているとされています。
特に問題視されているのが、マスク氏自身の投稿に含まれる誤情報です。米デジタルヘイト対策センター(CCDH)によれば、2024年の米大統領選に関連するマスク氏の虚偽または誤解を招く投稿は、8月時点で約12億回閲覧されていたと報告されています。これらの投稿には、民主党の移民政策に関する誤った主張や、生成AIを用いた偽の動画が含まれており、選挙の信頼性に疑問を投げかける内容も含まれていました。
「コミュニティーノート」の限界
Xには、誤解を招く投稿を訂正する「コミュニティーノート」という機能が導入されていますが、CCDHの調査によると、マスク氏の投稿にはこの機能が適用されていないケースが多いとのこと。マスク氏自身は、この機能が誤情報に対応する有効な手段だと主張していますが、実際には十分に活用されていない状況が指摘されています。
マスク氏の影響力とその批判
CCDHのCEO、イムラン・アフメド氏は「マスク氏は、ソーシャルメディアプラットフォームの所有者という特権を悪用して、不信と不和を広める偽情報を拡散している」と厳しく批判しています。マスク氏の発信する情報が選挙戦に与える影響は大きく、特に多くのフォロワーを抱える彼の立場が問題視されています。
まとめ
イーロン・マスク氏が所有するXは、米大統領選において大きな影響を持ち、虚偽情報や誤解を招く投稿が広まることで選挙の信頼性を損なう可能性があります。マスク氏が掲げる「言論の自由」と、実際の情報拡散における責任のバランスは、今後も注目される課題となりそうです。